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飛騨高山本陣平野屋 ブログ「飛騨高山から」

 平成15年秋 ―

飛騨の風習  飛騨の方言  飛騨牛乳のこと  秋の行事


飛騨の風習シリーズ 結婚までのあれこれ
 飛騨は、本当に、決まりごとがあれこれと、多いところです。生活の中でも、とりわけ、結婚は、個人対個人のものでなく、家同士のものとして、ふまえねばならぬ段階がありました。
 今でこそ、ずいぶん簡略化されたり、新郎新婦が会場を決めることもできるようになりましたが・・・。本来は、仲人や、親戚代表が引き受け、縁談をまとめていくのが、あたりまえでした。
 秋は、婚礼シーズンですから、そんな話を、いたしましょう。

≪準備運動≫***
 「あの家の娘を嫁にもらいたい」という、話の時には、まず、箱に入った一枚の正絹のふろしきを用意する。箱の熨斗には、粗品、下には、婿方の名前を入れ、相手の家に行く。相手の親が、風呂敷を受け取ると、後日、話を聞いてもよいという意思表示になる。ただし、いったん受け取っても次の日に返しに来ることもあるので、油断はできない。

≪樽 入 れ≫***
 仲人は、酒一升と、するめを持ち、嫁の家に行く。その酒を飲んでもらえれば、嫁の家の家長が、縁談を進めてもよいと許可をしたことになる。飲んでもらえねば、その酒は持って帰ることになる。
 嫁側とすれば、1回目の申し出で、許したら、格好が付かないし、嫁を安売りしたことになりかねぬといって、通常、1回目は、話だけ聞いて、酒は飲まないことが多かった。もらう側は、2回から3回は、通うことが普通だった。
 そして、いよいよ、許可が出て、持参の酒の封を開けてもらえたら、嫁の家からのつまみも出てくる。酒も、どんどん飲まれることになる。一挙に、親戚づきあいの始まりである。そして、その席にて、結納の日取りが決まるのである。

 飛騨では、婚礼披露宴は、婿側(もらう側)の主催であり、嫁側は招待される側である。従って、主導権も、嫁(又は婿)をもらう家のほうにあり、もちろん費用も、もらう家が全額負担する。

≪結  納≫***
 婚礼披露宴が、新郎側の主催なら、結納は、嫁側の主催である。結納品を持ってきた、仲人、婿、両親、親戚代表などから、しきたりどおり受け渡しをされる。
 高山の結納品は、全国的に見ると、どの程度の派手さかは、わからないが、結納飾りは、しっかりとする。
 手順は、どこも同じだと思うが、相手方の家の座敷の床の間に、結納品を飾る。両家向かい合って座り、仲人が、口上を述べる。続いて、盃を取り交わす。

≪打ち上げ≫***
 このごろは、簡略化され、結納後の両家の会食と言う意味合いになってきたが、もともとは、結婚式に、呼べない人たちを招いての嫁側の披露宴を行った。
 先ほど書いたように、本披露宴では、全ての主導権が、婿側にあるので、当然、嫁側では、披露宴に招く人も絞りに絞ることになる。費用全て、婿側もちなのである。当然、遠慮する。
 そのかわり、打ち上げと言うのは、嫁側が主導する披露宴だから、結婚する相手を紹介したい人(友人や、遠い親戚の人など)を、呼ぶ。
 もちろん、婿本人や、婿の両親、仲人、親戚代表などは、招待される。そして、その打ち上げに、招待された婿側の倍の人数が、本披露宴に、嫁側への招待人数という目安があった。
 打ち上げの最後には、やはり、また、納杯といって、盃ごとがある。
 いまでこそ、一斉に乾杯もあるが、両家向かい合って、杯を取り交わす。取り交わす間に、謡い(高山では、お肴という)が入る。そんな決まりごとを、きちんと行うと、やはり気持ちも引き締まり、厳かな気持ちになれる。

 結婚式に、たどり着くまでには、たくさんのしきたりを乗り越えねばなりません。今回は、結婚式まで、書けませんでしたので、また、いづれどこかで、書きましょう。
 それでも、少しは、飛騨の人たちが礼を尽くすことを尊び、人ととのつながりを大事にすることが、お話できたように思います。
 私も改めて、再認識し、また、飛騨が好きになりました。

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飛騨の方言

 飛騨に住む私たちが、日常に、話していることば、アクセントを総称して「飛騨弁」といいます。
 飛騨地方の中でも、高山、神岡、古川、南飛騨と、それぞれ地区によって微妙にイントネーションなどがちがいますので、「あの人は、古川の人やなぁ」とか、「あれは益田弁(下呂あたり)や」と、わかります。
 そのなまりは、関西風とも言われ、また、東北弁のようだとも言われます。私たち飛騨人は、飛騨人どおしで話す時、早口で、「飛騨弁丸出し」ですから、皆さんに聞かせるとぜんぜん理解できない会話らしいですねぇ。

 さて、言葉とは別のなまりのひとつに、「え」の発音が「ゑ」になったり、「い」になったりすることがあります。
 私の名前を、祖母が呼ぶ時、「ゑりこ」だったわけです。それが、いやでいやで、子供の私は、呼び方が違うと、よく祖母に、抗議したものでした。
 また、言葉の語尾に、「ナ」がつくことも特徴です。そして、「ナ」のおかげで、早口の飛騨弁がやわらかく聞こえるらしいのですが。
    『そんでな、あのな、朝市のな、林檎がうめえんやと』
 そして、「ん」がつくこともあります。
    『まんだ、こんよ』・・・まだ、来ない
    『きんのう、きたさ』・・・昨日、きた
 こんな感じです・・・。

 地方の人は、都会へ出ると一生懸命「東京弁」を話そうとしますよね。
 飛騨の人は、とりあえず、語尾に「ナ」をやめて「サー」をつけることから始めるのですが、どうみても、イントネーションが変なのです。
 ・・・・・・笑えます。・・・・・・
 いや、笑ってはいけない、かつての私がそうだったように、田舎から出て行ったら、都会の人に田舎者だと思われたくないのです。都会の人に笑われたくない・・・その気持ちは、涙ぐましいものがあります。地方出身者だったら、きっとわかるその心情・・・。
 ああ、なつかしい。

 まっそれは、さておいて・・・。
 「こんな話し方では、都会の人に笑われる」と予想がつくことなら、まだ、直し様もあるけど、もっと、驚くことがあるのです。
 ある日突然、都会の人となった飛騨びとは、高山の人にだけ通用する、そして、都会の人には通じないそんな「名詞」「文章」「いいまわし」の数々があることに気づくのです。何気なく使った言葉に、周りの人の反応が無く、一瞬たって「それどういう意味?」って聞かれた時の戸惑い・・・私自身も、日本の共通の言葉だとばっかり思っていたのに・・・と、絶句したことが何度もありました。
 さて、どんな言葉があるのか、私が体験したまま、思いつくまま、お話しましょう。

☆反対言葉の数々
・「くる」・・・行く
   「いまくるさ」・・・すぐに行くよ
・「いかず」・・・行く
・「やらず」・・・やる
   「いらんかな」・・・要りますか?

☆尊敬語の表現
・「みえる」・・・いらっしゃる
   「先生がみえました」「お客様がみえました」
 これは絶対標準語だと思ってました。サービス研修の時、社員皆が、敬語として使って、講師の先生を驚かせた逸話あり。

☆つなぎことば
・「しゃ」、「そしゃ」・・・では、それでは
 調理部所属、徳島県出身の福本君は、入社したてのころ、調理補助の女性たちの話が、理解できなかったと言う。「しゃ、やろか」「そしゃ、そやぞ」まじめな顔して聞いたと言う。「『しゃ』って何ですか?」


★★★いろんなことばの数々★★★
・あに、おじ・・・ 長男、次男
・あぜち・・・ 分家
 私の友達が結婚したての頃、嫁入り先の近所の方に『これ、あぜちの、ねさま(分家の若嫁さん)』と、呼ばれたそうです。彼女は、自分は、田んぼの畦程度のものなんだと、がっくりしたと言う話があります。
・よさり、ゆうさり・・・ 夜、夕
・ささって・・・ 昨日、今日、あした、あさって、ささって、しあさって
 飛騨ではこのように言います。これで、よく恥かくのは、わが社の売店部。宅急便の日にち指定の時に、お客様から突っ込まれます。
・だらべっと・・・ いやだということ
・ざいごさ・・・ 「在郷さ」田舎ものと言う意味
・あいがない・・・ 時日が、たっていない
・またじ・・・ かたづけ
・はぐる・・・ めくれる
・てきない・・・ 苦しい、つらい
・はんちくたい・・・ 思うようにならないとか、腹立たしい
・あぐるしい・・・ うっとおしい
・こすい・・・ ずるい
・やくたいもない・・・ とんでもない
・ちょける・・・ ふざける
・つくばる・・・ 正座する
・あばな・・・ 「あばよ」は、別れの言葉ですよね。その女性版でしょうか。
 「あばよ」は、標準語で、「あばな」は飛騨弁・・・なぜ?
・つめかう・・・ 「つめ」は鍵のこと。「かう」は、かける。「かぎをかける」という意味
・やわう・・・ 準備する
・なかまして・・・ 仲間に入れてという意味
・ためらう・・・ 気をつける
・こずらにくい・・・ にくらしい
・たたこたない・・・ たいへんだ
・いざらかす・・・ 移動する
 客室係りの本当にあった話。ある朝、朝食会場にて
 「お客様、これが、ほうばみそでございます。おみそがふつふつとなりましたら、こちらの皿にいざらかして、次は岩魚を焼いてくださいませ。」ぽかんとするお客様を後にして、係り悠然と次の席に行き、同じことばを繰り返すのだった。その日の朴葉味噌はみなこげていた・・・あぁ・・・


★★★標準語にありそうでやっぱりなかった言葉★★★
・こけ・・・ きのこ
 「こけとりにいく」・・・きのこ狩りに行く
・いしな・・・
・はい虫・・・ はえ

☆番外その一
 JR高山線は、電化されておりません。ですから、私たちが、日常見るのは、汽車なのです。都会に出て、山手線に乗って「汽車」と発してしまった時、都会の友人たちは、大笑い・・・。

☆番外そのニ
 あんまり、友人が笑うので、そのうちどこまでが飛騨弁か、標準語か、わからなくなる。たしかに、都会では、「ズボン」のことは、「パンツ」と言うが、「ズボン」は、標準語だよなぁ?


★★★標準語と、まったく違う意味で使うことば★★★
・こびる・・・ おやつ
 『こびる』といえば、ごまをするという意味だが、小さな昼という意味で、「こびる」です。
・かわいい(かわえーな)・・・ かわいそう
・おいた・・・ いやだ、やめる

☆幼い頃から、私が父からよく言われていたことばシリーズ
 私を叱った時のことばは、特に印象的で、そのときの父の鬼のような顔まで、思い出されます。
 おお、こわっ・・・。
・「とったかみたか」・・・手っ取り早い、軽はずみな
・「ういたかひょうたん」・・・地に足が着いてないこと
・「はんぶんはんじゃく」・・・物事を途中で投げ出すこと、いいかげんなこと
・「あぬいて、つばけ」・・・上を向いて唾すると、自分の顔にかかる。因果応報のこと。
・「どばちのかわよ」・・・天罰がくだった
・「おぞくたいことばっかして、だしかん」・・・ほめられないことがかりしては、だめだ
・「げばいとるな」・・・粗悪な
・「だだくさにすると、ばち当たるぞ」・・・粗末にすると、罰があたる


★★★飛騨弁の極めつけ「あれ、こ〜わいさ」★★★
 『コワイ』と言うことばは、便利なことばで、飛騨の人は何でもこのことばで済ましてしまう傾向にあります。特に女性がよく使うことばです。
・こわい・・・ はずかしい、もうしわけない、ありがとう、おそろしい、不安、嫌だ、困る、気の毒な、たいへんな
 飛騨の人は、このことばで、いくつかの意味を重ねて使うので、前後の話からどういう意味か、解釈しなければならない。ある本には、他国の人には、通じがたいと、書いてあるそうです。

 こんなわけで、飛騨弁の数々、まだまだ書き足りません。この原稿を作るのに、社員の皆に「自慢の飛騨弁」を聞いたら、出てくる、出てくる・・・。
 しかしながら、若い社員は、
「聞いたことあるけれど、使わない」
とか、
「意味を知らない」
とか、果ては
「聞いたこともない」
とか、こんな山深い飛騨でも、標準語の波は、やはり押し寄せています。私はせいぜい飛騨弁の楽しさを、お客様に伝えなければと、思いを新たにするのでした。

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飛騨牛乳のこと

 私たちが、毎日飲んでいる飛騨牛乳は、飛騨酪農組合の牛乳です。
 保育園から、高校の購買部、スーパー、どこでもでてくる子供の頃からの慣れ親しんだ味です。

 初めて、都会に出て、牛乳を飲んだ時に、その味の違いに、びっくりしたのでした。いまでこそ、いろんな牛乳がありますが、そのころの都会の牛乳は、しゃばしゃば、一緒に上京した友人たちも、同じ意見でした。

「高山の牛乳は、おいしいなぁ。飛騨牛乳飲みたいなぁ。」

 さて、飛騨牛乳には、いくつか味のバリエーションがあります。
   ・普通の白い牛乳
   ・コーヒー牛乳
   ・オレンジ牛乳
   ・パイン牛乳
   ・りんご牛乳

 この5種類は、定番で、どこの菓子やにも、どこの風呂やでも、売っていました。もちろん瓶でした。たしかりんご牛乳だけは、ビンの形が、六角形のような感じでした。りんごの皮をむいた白とも黄色ともいえない果肉の色の牛乳です。白い牛乳が苦手だった子供の頃の私のお気に入りの牛乳でした。
 いまは、紙パックになってしまい、ジュースと同類の扱いになってしまったようで、スーパーの店先に並んでいます。腰に手を当て、ビンに、口をつけて、ぐびっと飲むあの快感は、味わえませんが、牛乳の味は、昔そのままです。
 高山駅には、自動販売機もあります。90円です。ちょっと甘くて、なつかしいふるさとの味の牛乳です。ちなみに、白い牛乳は、本陣平野屋でも、朝食時にお出ししています。ぜひ、お楽しみください。

≪ひそやかな楽しみ≫
 高山の小中学校は、冬になると各教室にストーブが入ります。
 そのストーブの上では、たらいに、水を張り、蒸気がでるようにしていました。たらいの中では、いつでもお湯が煮えています。この中に、お昼になると牛乳を入れて、温めて飲むのです。ホットミルクを作ることは、冬になると、各教室で当たり前に行われていました。厳寒地方ならではの、話ですね。

 中学3年ともなると、多少悪知恵も付いてきて、クラスの皆で、スティックシュガーや、インスタントコーヒーを、持ち込み、牛乳に混ぜて飲んだことも楽しい思い出です。ただし、これは、牛乳瓶の底の、「混ぜ残し」が、ばれて、先生から大目玉をもらってしまいましたが・・・。

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飛騨高山 秋の行事予定

・味祭り 9月6日(土)〜7日(日)
 場所:本町通り
 近在の村からの産品の卸売会
・我楽多市 9月7日(日)
 場所:さんまち通り(平野屋から徒歩1分)
・タイムカプセルを通って江戸時代へ 9月13日(土)〜10月26日(日)
 場所:市政記念館
 期間中の土・日・祝日開催。着物、裃姿で高山の町を散策しませんか。
・車田の稲刈り

9月21日(日)
 場所:飛騨の里

・紅葉の飛騨高山 赤い中橋ライトアップ 10月1日(木)〜13日(月)
 場所:中橋周辺
・ギャラリーのまち開催 10月1日(木)〜
 場所:市内各商店ウィンドウ
・我楽多市 109月7日(火)
 場所:さんまち通り(平野屋から徒歩1分)
・秋の高山祭り 10月9日(木)〜10日(金)
 場所:桜山八幡宮
・飛騨の里 紅葉ライトアップ 10月24日(金)〜11月8日(土)
 場所:飛騨の里
・ひだ清見村 秋のクラフト展 10月25日(土)〜26日(日)
 場所:清見村
・飛騨高山産業まつり 11月1日(土)〜3日(月・祝)
 場所:飛騨高山ビッグアリーナ
・秋色めぐり 11月1日(土)〜3日(月・祭)
 場所:飛騨の里
・飛騨にゅうかわ宿儺祭り 11月2日(日)〜4日(火)
 場所:丹生川村
冬の高山にも、行事が盛りたくさんです。冬号のお知らせをお楽しみに!
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平成15年秋

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