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飛騨高山本陣平野屋 ブログ「飛騨高山から」

 平成16年春 ―


振り返ってみれば  ひな祭り  春のおいしいもの  春の行事


振り返ってみれば
 この春、我が家の末っ子が、中学校を卒業します。
 長男が大学、長女は高校3年生。
 そして、次女も、いよいよ高校生です。
 みんな、(身長と体重だけは・・)大ききなって、家族の中で、一番小さいのは私になりました。
追われるように、走り回る日々を過ごしているうちに、いつの間にか、子供たちが、大きくなってしまったというのが、実感でしょうか。
後ろ髪を引かれる思いをしていたことが、うそのように、このごろでは、子供たちが、とても頼りになる存在です。そして、子供たちが、自分の足で立ち、いつまでも、自分の後ろを、ついてくるわけでないと思うと、ちょっと寂しい気もしています。

 振り返ってみれば、花兆庵をオープンする時は、小学3年、1年、年中さんのまだ幼い子供たちでした。
 しかし、この機会に、仕事に戻るのが、会社の中にも入っていきやすいということで、現場に出ることにしたのでした。小さい時から、母の働く姿を見てきた私にとっては、当然のことでありました。
 商いの家に生まれたからには、日曜日に、親が働いているのは当たり前。学校から帰ってきてもだれもいない家というのも当たり前。そんな中でも子は育つ・・・そう思っておりました。

 計画から、建設、備品発注、納入・・・
 あれよあれよと、仕事にのめりこんでいき、実際、旅館が始まると、子供といる時間は、ほとんどなくなりました。
 子供と食べるのは、朝ごはんだけ。ほんの20分ほどで、お互いの今日の予定を、伝え合うだけです。
 そうやって、朝聞いた予定でも、実行できなかったり、忘れてしまったりが、しばしば・・・PTAをすっぽかしたり、集金を忘れたり、たのまれた買い物に行けなかったり、どうしても、会社の中では、「私」的なことが後回しになってしまいました。

 こんなこともありました。
 授業参観の日、どうしても間に合わなくて、仕事着のまま・・・着物姿のまま・・・学校に行ったのです。学校へ行って、教室に入ると、子供たちと、お母さん方の視線・・・。その日、仕事が終わって、家に帰った私に、娘の一言。
「今日は、恥ずかしかった。学校に着物で、来んといて(着物で来ないで)・・・」
予想はついていましたが、娘は、同級生から「なぜ、おかあさんが着物でくるのか」と、はやされたらしいのです。
 おしゃれして着物で来たといわれたようです。それを娘は、弁明するのだけれど・・・。
「おかあさん、目立つよ・・・」
母親が、他のお母さんと違うことが、とてもいやだというのです。

 ほんのちょっと悲しい気持ちになりかけた私ですが、きっとこれからも、着物のまま、学校に突進することはあると思いました。ここは、子供に、言って聞かせるより、他にありません。
「おかあさんは、着物が仕事着。他のおかあさんだって、会社で仕事している途中に事務服で来ることがあるやろ?
 あれとおんなじや。着物で行くということは、おかあさんが、一生懸命働いているということや。言いたい人には、言わせとけばいいの。着物でも、洋服でも、おかあさんは、おかあさん。中身は変わらん。」
 子供にも、母の必死な気持ちと迫力が伝わったらしく、それっきり、着物で行っても、何もいわなくなりました。

 でも、ここだけの話・・・本当は、ほんのちょっと違っていたんですよ。私自身の気持ちが・・・。
 なぜなら、学校の先生方に、お目にかかるとつい、営業スマイルでが出て、ごあいさつしたりして・・・・着物の時には、やはり、女将の顔が見え隠れ・・・してましたね。

 私の子育ては、決して人に自慢できるものではなく、後悔と自責の念いっぱいです。子育ては、仕事と一緒で、これでよいということはありませんから、そのときそのときの場面で、精一杯対処すること・・わかっていたはずだけど・・・・・なかなかできませんでした。
 よくぞ、ここまで、明るく、思いやりのある子に育ってくれたと、感謝するばかりです。

 春からは、また、子供たちそれぞれの新しい生活・・・私も「親である」気持ちで、見守っていきたいと思います。

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ひな祭り

 今年も始まります。飛騨高山の雛まつり。
 3月1日から、4月3日までございます。
 本陣平野屋でも、雛まつりに、協賛し、数々のお雛様を展示しています。

   高山の隣、宮村の「まゆびな」。
   地元「紙や文次郎」さんの張子雛。
   猫のほろ酔い雛。
 私が、生まれたときに、母の実家から送られた○十年前の七段飾りのお雛様。
 ご縁あって譲られてきたお雛様たち。
 毎年、少しづつ増えていくお雛様たちです。

 さて、今年は、地元の焼き物として作られた通称「山田焼き」の土雛様たちが増えました。

 昨年のお雛様祭の開催中に、ふと見つけた土雛様。お内裏様、お妃さまはもちろん、三人官女、五人ばやし、仕丁、右大臣左大臣も揃っていました。
 土雛様の中では、大柄で、よく揃っているので、いただいてきました。
 昨年、お雛様の展示が終わってから、うちに来たおひなさまたちは、1年間行季の中で、じっと、このときを待っていました。
 2月半ば、しまっていた行季の中から、そっと出してみると、本当に素朴。そして、顔の表情の豊かなこと。
 いっぺんにうれしくなってしまいました。
 そして、面白いのです。古い土雛さまは、色絵付けが、半分だけ・・・表側だけなのですね。着ているものも、半分だけ、後ろは、見事に、真っ白です。コスト削減かなあ?。
 それから、よく見ると、表情や、顔や、形が、少し違います。着物の柄の違い、人形の大きさのバランスがちがうのです。これは、寄せ集めの雛様だなあ。私、だまされたのかなあ・・・などと、納得いかぬまま飾ってみたのです。

 さて、冬の間は、地元の女性の方が、たくさん、お食事にいらっしゃいます。その方たちは、みなさん、押しなべて雛様の前に座り、懐かしい話を聞かせてくださいます。
 そこで聞いた話で、私は、納得したのでした。

高山市には、農業の閑散期、土人形を作る人たちがいました。主に、山田町というところに住んでいる人たちでした。そこから「山田の雛さま」と言う名が付いたと言うこと。
その人たちは、雛の節句が近づくと、背中に、行季をしょって、「オネ売り」に出た。一軒一軒廻って、「ひなさまいらんかな?」と、売って歩く姿は、飛騨の初春の風物詩だった。
  (おねうり・・・「おねる」は、飛騨弁で、背負うということ。「おねうり」は、背負って売り歩くこと)
買う方も、また、貧しい人たちが多く、いくら女の子が生まれても、一度に、おひなさまを買い揃えることは、できなかったそうです。そこで、今年は、お内裏様とお妃さまだけ、買ってもらう。次の年、売りに来たら、三任官女を買ってもらう。そのまた、次の年。そのまた次の年。と、買い足していったそうです。

 納得!!
 納得!!
 貧しいながらも、雛様を揃えていく楽しみ、喜び。女の子にとって、こんなにうれしいことは、なかったでしょう。
 うちに来たおひなさまも、きっと、そんなふうに、増えていったおひなさまなのでしょう。
 それを知ったら、この素朴な土雛様たちが、もっともっといとしくなりました。
 たくさんの物語を持ちながら、このひなさまたちは、きっとたくさんのお客様の目を楽しませてくれるでしょう。
 私は、せいぜい、この横で、このお雛様たちの魅力を語ろうと、思うのでした。

 ちなみに、このごろでは、農業の閑散期に、人形を作る人もいなくなり、今では、一人だけになってしまいました。やはり山田町の岩さんという方だけが焼いておられます。
 岩さんは、山田の人形を作っておられただんなさんの亡き後、見よう見まねで覚えたものを自分風にアレンジして、作っていらっしゃいます。
 小さくコロンとしたおひなさまです。
 自宅の庭先に、小さな工房を造り、小さな窯で、自分のできる範囲内だけで、一人で、せっせと作っていらっしゃるのです。
 岩さんの人柄を表すような、かわいい現代の「山田の雛さま」、私の手元にもひとつあります。歴史ある土雛さまと並べてみました。
 にっこりと笑っていてくれて、とてもうれしい今年のひな祭りです。
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春のおいしいもの

◆◇ 萩原銘菓 新草あねかえし ◇◆

 野山が新緑に包まれる頃、萩原町には、「あねかえし」という、素朴で、そしてすごく美味しいお菓子があります。「あねる」とは、飛騨の方言で、「捏ねる」こと。米の粉に、熱湯をかけ、耳たぶくらいの固さになるまで、何度もあねて返すから、あねかえしといいます。
 蓬(よもぎ)をつんで、ゆでて、一緒に混ぜて、ちょっとずつちぎって、真ん中に、あんこをいれますと、これが萩原の「あねかえし」。もちろん、5月、6月だけの期間限定商品です。
 蓬の緑が、こんなにきれいだったかと思えるような、味と香りです。
 おかみの絶対お勧め品!!

 買いに行くとびっくり。店構えは、化粧品やさんです。化粧品屋さんの隅っこの方で、おばあちゃんが一人で作っていた「あねかえし」のショーケースがあります。予約で、いっぱいになりますから、お早めに。

   お店はこちら↓
 岐阜県下呂市萩原町萩原
 活文社(かつぶんしゃ)
 0576−52−1076


◆◇ ふきみそ ◇◆

 春になると、なぜかふきのとうを探しに行きたくなります。ほんと少し、道からそれて田んぼの畦に行けば、あちこちに出ている「ふきのとう」。ころんとしたかわいい形と、春を感じさせる香りは、長い冬が終わり、躍動の季節が来ることを教えてくれます。
 さて、そのふきのとう、細かく刻んで味噌汁の中に入れることもあれば、天麩羅にして食べることもあります。
 そして、飛騨の主婦たちは、「ふきみそ」というおかず味噌にすることで、保存食として味わったのです。

  ふきみその作り方
 ・ふきのとうを布巾で、よく拭いて、埃やごみを取る。
 ・さっさとゆでて、細かく切る。
 ・飛騨のみそを、鍋に入れ、好みによって、砂糖やみりんで味をまろやかにする。弱火にかけ、少し練る。
 ・ふきのとうと味噌を混ぜ合わせる。
 ・炊きたてのご飯に乗せて、ひとくち。おいし〜い!!


◆◇ あさつき ◇◆

 春一番の青いものと言えば「あさつき」。
 わけぎなどと一緒で、酢味噌和えなどにするのが、一般的のようですが、飛騨高山では、「あさつきみそ」でしょうなあ。(急に、物知り顔で、話したりして・・・)

 味噌の食べ方では、朴葉味噌が有名ですが、私たちの味噌の食べ方では、「味噌煮」の方がよく登場します。田舎味噌を、一人鍋に入れ、ほんの少しのお水を入れます。シチューくらいの固さにとくつもりで。そこに、3センチくらいに切ったあさつきを、入れます。
 あとは、電気焜炉で、煮るだけ。
 ふつふつふつとなったら、あさつきがくたくたになる前に、スプーンですくって、ご飯の上に、かけます。

 勢いつけて、ご飯を掻きこむと美味しい。何杯でも、食べられそうな気がしてきますよ。

 でも、都会の方には、ちょっと辛いかな?そんな時には、卵を混ぜて味をやわらかくするのも美味しい・・・・・。
◆◇ 喫茶「ドン」のチーズケーキ ◇◆

 別に春でなくても、食べられます。
 実は、この原稿を作りながら、急に食べたくなったので、書いています。
 「ドン」は、平野屋の前の通り 本町通2丁目にある、高山の歴史ある喫茶店です。白いカバーのかかったレトロないすに座って飲む、ドリップ式のコーヒーは、大人の味がしたものです。私の好きなのは、ここのチーズケーキ。スポンジ生地の間に入ったクリームチーズの美味しいこと。お持ち帰りもできます。
 あ〜食べたい!!


◆◇ 三乃屋の「ごへいもち」  ◇◆

 本当の飛騨高山の五平餅は、ごはんをざっくりとつぶして棒にさしたものに、焼き色を付けながら、あぶらえ味噌(えごま味噌)をぬったものです。
 この昔ながらの味を守っているのが、三乃屋さんです。平野屋から春慶会館に行く途中で、少し左に入ったところに、ある小さなお店です。
私も、時々、ふらりと買いに行きます。口の周りに、味噌がつくのも気にせず食べると美味しいです。
そういえば、スイミングスクールがいやだと言って泣く長男を、「ごへいもち」で、つったこともあったなあ・・・
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飛騨高山 春の行事予定

・第6回飛騨高山雛まつり 3月1日(月)〜4月3日(土)
 場所:市内各所
 春の訪れの遅い飛騨地方では、ひとつき遅れの4月3日が、雛の節句です。数々のお雛様が、いまも残る飛騨高山の「ひなまつり」、開催期間に、ぜひご覧くださいませ。
・佐藤禎三先生のひな祭り 3月10日(水)〜31日(水)(午前9時〜午後3時)
 場所:本陣平野屋別邸
・花兆庵のひなまつり「雛の宴」 3月18日(木)(午後12時〜午後3時)
 ひな膳のお食事と日本の唄こんさーと
 ※おかげさまで、お席は完売しました。
・第16回飛騨高山ドキュメンタリー映像祭

3月5日(金)
 場所:高山市文化会館

・飛騨一ノ宮生き雛祭り 4月3日(火)
 場所:となり村・・宮村 水無神社
・新緑の赤い中橋ライトアップ 4月10日(火)〜5月5日(水)
 場所:中橋近辺
・春の江名子川ライトアップ 4月10日(火)〜5月5日(水)
 場所:江名子川
・春の高山祭り 4月14日(水)・15日(木)
 場所:日枝神社・春祭り区域
・タイムカプセルを通って江戸時代へ 4月14日(水)〜5月30日(日)の土・日・祝(午前9時〜午後3時)
 場所:市政記念館(中橋詰)
 料金:2時間1500円(延長30分毎500円)
 女性は、着物、男性は、裃姿に、着付けしてもらえる。利用者には、市内18箇所の観光施設への入場無料手形と、記念写真の特典がつきます。
・荘川桜ライトアップ 5月上旬
 場所:飛騨荘川村
・野麦峠山開き 5月1日(土)
 場所:高根村 飛騨御嶽高地トレーニング施設
・第6回飛騨高山端午の節句 5月1日(土)〜6月5日(土)
 場所:市内各所
・飛騨一ノ宮水無神社 例祭 5月1日(土)・2日(日)
 場所:宮村 水無神社
・金蔵獅子 5月3日(月)
 場所:飛騨国府 冨士神社
・ひだ清見クラフト展 5月3日(月)〜5日(水)
 場所:清見村 ウッドフォーラム
・金蔵獅子 5月4日(火)
 場所:飛騨国府 廣瀬神社
・我楽多市 5月7日(金)
 場所:さんまち通り
 高山の骨董市です。露天にて、10月までの毎月7日の開催です。平野屋の女将も、毎月必ず見に行きます。お気に入りが見つかることも・・・
・乗鞍岳山開き 5月15日(土)
 場所:丹生川村 乗鞍岳
・湯の花祭り、絵馬市 5月15日(土)
 場所:上宝村 平湯神社
・飛騨の味まつり 5月15日(土)〜16日(日)
 場所:平野屋前、本町通り
・第50回清流庄川あまご、やまめ釣り大会 5月16日(日)
 場所:荘川村 荘川の里
・車田の田植え 5月23日(日)
 場所:飛騨の里
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平成16年春

飛騨高山の宿 本陣 平野屋 花兆庵 〒506-0011 岐阜県高山市本町1丁目34番 TEL.0577-34-1234
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