8月いっぱいで「飛騨桃」の季節が終わると、梨の季節になります。以前は、梨といえば「二十世紀」と「長十郎」だったと思います。「二十世紀」は、水分が多くシャリシャリとして、何となく洋風、若者の味、というイメージでしたし、「長十郎」はその名のとおり、和風という感じでした。甘味が強いけれども、何か垢抜けない茶色の梨、「長十郎」を子供の頃から私は大好きでした。長十郎にかぶりつくと、皮のざらざらした感触と優しい甘さが広がりとても幸せな気になったものですが、学校の給食にでるのはいつも「二十世紀」で2分の1が1人分でした。水分がいっぱいでお腹がふくれるこの梨を、どこまで食べたら全部食べたことになるんだろうと給食が苦手だった私はいつも思っていました。今では、「幸水」「豊水」など、美味しい梨の種類も増えました。朝市でも売っていますのでごらんくださいませ。梨が終るとりんごの季節、高山は、信州と同じりんごの産地です。朝市に出かけると、朝市のおばちゃんの笑顔と真赤なりんごがすぐ目につきます。木箱の中のりんごは、ピカピカに光っておいしそう。「茜」「つがる」「フジ」と、秋が深まるにつれ並ぶ りんごも変ってきて、果肉に蜜が入った蜜りんごとよばれるものになります。りんごが並ぶと朝市も一段と華やかになり、朝市のおばちゃんの飛騨弁を聞きながら、品定めをする楽しさは格別です。朝市からでも宅急便の手配ができますので、荷物になることを気にしなくてよくなりました。また、りんごのまるかじりは美味しいですけれど、りんごをかじると歯から………という方のために皮をむいて切ってもくれます。飛騨高山が最も身近に感じられる場所、朝市へぜひおでかけ下さい。朝、たくさんの買いものをされた方々が旅館へ戻っていらっしゃるとみな様が楽しまれた様子が良くわかり、私まで幸せな気分になってしまいます。 <秋の味覚 番外編 一位の実> 一位一刀彫で知られる、一位の木には秋になると赤い実がたくさんなります。小さな実には似合わないような大きな黒い種が入っているので注意して、口に入れると、とろりと甘い味です。力を入れて実をつまむと、すぐにつぶれてしまうので気をつけてください。市内を歩くときっと目にはいると思います。葉っぱの緑と実の赤の色合いがとても素敵ですからすぐわかります。子供の頃のままごと遊びには欠かせないご馳走でしたし、学校からの帰り道にもよく取ったものです。
テレビの話 飛騨高山はよくテレビ局の方が取材にいらっしゃる街です。古い町並みや赤い橋など風情豊かなたたずまいは、やっぱり人気がありますから旅番組だけでなくドラマの舞台にもよくでてきます。旅館を撮られる時に私ども本陣平野屋にも声がかかり、花兆庵を映してもらうことがあります。たくさんの機材やスタッフの方に圧倒されているうちに時間は過ぎて行き、撮影が真夜中までかかることもありました。私たちにも、ある程度の打ち合わせがあり、どこを撮りましょうとかここで話してくださいとか指示があるのですが、臨機応変に対処されるスタッフの方達の中にいて、「ハイ、女将さん、どうぞ!」と言われて、度胸だけで話をするのです。飛騨高山の宣伝をしたり、本陣平野屋のことを話したり、時には相手の方の質問に答えたりするところを撮ってくださいます。そして、放映は何月何日ですから……と言って次の撮影場所に出発されます。短い様な長い様なあっという間の時間を過ごし、田舎ものの私はテレビってすごいなあと感心するばかりです。 <おまけ> 私はテレビに映っている自分を見て、びっくりしました。標準語で話したつもりなのに、かなりなまっているからです。まぎれもなく「飛騨弁」なのです。きどって話してこれだから、普段私が話している言葉は、「まる出し」なのだろうと思います。(もしおわかりづらい方がいらっしゃいましたらごめんなさい。女将は生まれも育ちも高山です。)
高山市手筒組組長・高山土産品組合長 畑中 昌次
女将便りで・・・ 私は、商売柄かもって生まれたものか、年中駆け足でバタバタと過ごしております が、季節感を忘れないようにといつも思っています。その季節にしかできないこと味 わえないことなどをお客様に伝えたい、提案したい、それが飛騨独特のものなら尚の こと、大切にすることも私たち旅館に携わる者の役目と思っています。女将便りでそ んなことを少しでもお話できればと思います。有り難うございました。